医療脱毛とは?仕組みや効果、エステ脱毛との違いについて詳しく解説
医療脱毛は、美容や健康意識が高まる中、多くの方に選ばれている脱毛方法です。
しかし、「エステ脱毛と何が違うのかわからない」「どのような仕組みで効果が得られるのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、医療脱毛の基本的な概念から具体的な仕組み、実際の効果、エステ脱毛との違いについて詳しく解説していきます。
医療脱毛を検討中の方や、より深く理解したい方は、ぜひ参考にしてください。
医療脱毛とは?毛が生える仕組みと併せて解説
医療脱毛とは、医療機関で提供される脱毛サービスのことです。
医療行為なので、専門の医師や資格を持った看護師が施術をします。
体毛や髪の毛は、毛根付近にある毛乳頭という部分が密接に関わっています。
毛乳頭には毛を生成するための毛母細胞が存在し、毛の成長を促します。
また、最近の研究では、バジル領域と呼ばれる部分が毛母細胞の働きを制御しているとされ、発毛のメカニズムにおいて重要視されています。
医療レーザー脱毛は、レーザーを毛根部に照射して毛を生成する発毛細胞にダメージを与え、再び毛が生えてこないようにする施術方法です。
高出力のレーザーを使用して毛根に直接作用するため、永久脱毛効果が期待できます。
医療脱毛の仕組みと施術の流れ
医療レーザー脱毛は、毛に含まれるメラニン(黒い色素)に反応して熱を発生させます。
この熱がムダ毛を生やす元となる組織を破壊し、毛の成長を抑制するのが基本的な仕組みです。
医療脱毛の施術の流れは以下のとおりです。
- 脱毛する部位のムダ毛を処理しておく
- レーザーを照射する
- レーザーの熱で毛根が破壊される
医療脱毛では、事前に脱毛部位のムダ毛を処理してからレーザーを照射します。
レーザーが黒い毛に吸収されると熱が生じ、その熱が毛根に集中します。
レーザーは黒い毛にのみ反応するため、周囲の皮膚や細胞を傷つけるリスクは低く、発がん性や内臓への悪影響もないため安心です。
レーザー照射から約1〜2週間後、毛根が破壊されたムダ毛は自然に抜け落ちます。
時間が経つと再び別の毛穴から生えてきますが、これは毛周期による正常な反応です。
レーザーから生成された熱が毛の成長を促す組織を破壊します。
一度破壊された毛根からは、新たな毛は生えてきません。
定期的な施術を続けることでムダ毛は次第に少なくなり、最終的には自己処理が不要になるでしょう。
医療脱毛の仕組みと毛周期との関係とは?
毛が生える仕組みについて知っておくことは、脱毛の効果を理解する上で重要です。
毛は毛根部の毛母細胞の分裂によって生成されます。
毛が生えるサイクルには「成長期」、「退行期」、「休止期」の3つの期間があります。
ここからは、医療脱毛の仕組みと毛周期との関係について見ていきましょう。
毛周期とは
毛にはそれぞれ異なるタイミングで生え変わるサイクルがあり、これを「毛周期」と呼びます。
毛周期は「成長初期(毛が生え始める時期)」「成長期(毛が伸びる時期)」「退行期(毛が抜ける直前の時期)」「休止期(毛が生えていない時期)」の4段階に分かれます。
たとえば、わきの毛をみると、目に見える成長期と退行期の毛は全体の約30〜40%に過ぎません。
残りの半分以上は休止期にあり、表面には現れていません。
そのため、1回のレーザー脱毛で処理できる成長期の毛は全体の15〜20%程度です。
レーザーに反応しなかった毛は、成長期を迎えるのを待って再度照射することになります。
このように、毛周期に沿ってレーザーを適用する作業を繰り返すため、脱毛は一度で完了することは難しいです。
成長期
毛が活発に伸びる時期が、成長期です。
成長期では、毛包表皮は細胞分裂を繰り返しながら、毛乳頭毛という毛を成長させる根源となる部分になります。
毛母細胞は毛包表皮細胞という毛乳頭を覆う細胞から変化し、新たな毛が作られます。
退行期
退行期に入ると毛包が縮み始めます。
退行期には細胞分裂が停止し、毛の成長も止まります。
固定部はレーザーに反応するとされているバルジ領域にありますが、この時期の毛に医療脱毛を行っても効果は期待できません。
永久脱毛するためには、バルジ領域から毛母細胞に至るまで、全体を破壊する必要があります。
休止期
休止期に入ると、毛包は細胞分裂を行うことができなくなり、変動部は徐々に短くなりながら皮膚の表面に向かって移動します。
移動した部分が成長期に入った新たな毛に押し出され、自然に脱落します。
以上の3つのサイクルを繰り返すことで、毛は生えたり抜けたりを続けます。
医療脱毛に適した毛周期とは
医療脱毛のレーザーは、主に成長期にある毛に対して効果的です。
先述したように、毛を生み出す「毛母細胞」が毛包表皮から作られるのは成長期だけです。
施術の間隔が短すぎると成長期にある毛の割合が少なくなり、脱毛効率が低下します。
一方、施術間隔が長すぎると、成長期の毛に加えて退行期や休止期の毛が混在し、これもまた脱毛効率を悪くします。
そのため、脱毛する際は毛周期のサイクルを見極める必要があります。
医療脱毛の仕組みと体毛の質の関係
医療脱毛は、高出力のレーザーを用いて毛根を破壊し、永久的に毛の再生を防ぐ方法です。
レーザーの光は毛のメラニン(色素)に吸収されるため、メラニンが多い黒い毛ほど効果が高いです。
一方、メラニンが少ない白髪や薄い色の毛、そして細い産毛に対しては効果が低い場合があります。
ここでは、具体的にどのような体毛が医療脱毛の効果に影響を与えるのかについて詳しく解説します。
白髪が多いと効果が出にくい
医療脱毛において、レーザーは毛のメラニン色素に吸収され、熱エネルギーに変換されて毛根を破壊します。
しかし、白髪にはメラニン色素がほとんど存在しないため、レーザーが効きにくいです。
これにより、白髪が多い部分では医療脱毛の効果が出にくいという問題が生じます。
現時点では、白髪脱毛の方法はニードル脱毛のみです。
ニードル脱毛では、細い針を毛根にまで差し込み、その針の先端で電気を使って熱を発生させることで毛根細胞を破壊します。
毛の色素が薄いと効果が出にくい
毛の色素が薄い、つまり明るい色の毛の場合も医療脱毛の効果が出にくくなってしまいます。
これは、白髪のところで解説したのと同様に、レーザーがメラニン色素に反応することで毛根にダメージを与える仕組みのためです。
薄い色素の毛では、レーザーの吸収率が低く、十分な熱が毛根に到達しないため、効果が減少してしまうのです。
産毛などには効果が出にくい
産毛などは、医療脱毛の効果が出にくいケースが多いです。
産毛は非常に細く、メラニン色素の量も少ないため、レーザーの光が十分に吸収されず毛根に対するダメージが不十分になるためです。
医療脱毛とエステ脱毛の違い
医療脱毛とエステ脱毛は、効果や安全性、施術者の資格などで多くの違いがあります。
どちらを選ぶかは個人のニーズや脱毛の目的によりますが、それぞれの違いを理解することで、より適切な選択ができるでしょう。
ここからは、医療脱毛とエステ脱毛の違いについて解説します。
施術1回あたりの効果の違い
医療脱毛とエステ脱毛では、施術1回あたりの効果に大きな違いがあります。
医療脱毛は、レーザーを使用するため、高出力で毛根をしっかりと破壊します。
そのため、1回の施術でも脱毛効果が高く、短期間で効果を実感できます。
エステ脱毛では、光脱毛を使用することが一般的であり、医療脱毛と比べると出力が低いため、1回あたりの効果はやや弱いです。
そのため、エステ脱毛では定期的に何度も通う必要があり、医療脱毛に比べて長期間かかるでしょう。
施術に伴う痛みの違い
施術に伴う痛みについても、医療脱毛とエステ脱毛では差があります。
医療脱毛は高出力のレーザーを使用するため、施術中の痛みが強く感じられることがあります。
ただし、医療機関では麻酔クリームや冷却装置を使用して痛みを軽減させることも多いです。
一方、エステ脱毛は出力が低い光脱毛を使用するため、痛みは比較的軽度です。
敏感肌の方や痛みに弱い方にはエステ脱毛が適しているかもしれません。
医療脱毛でも、麻酔クリームなどの痛み軽減策を利用すれば、痛みを和らげることができるでしょう。
施術者の違い
施術者の資格とスキルも、医療脱毛とエステ脱毛で違いがあります。
医療脱毛では、医師または医療資格を持つスタッフが施術を行うため、安全性が確保されています。
医療資格が必要なのは、高出力のレーザーを使用するのに専門的な知識と技術が求められるからです。
一方、エステ脱毛はエステティシャンが施術を行いますが、医療資格は不要です。
施術技術や知識に関しては施術者によって差がありますが、しっかりとしたトレーニングを受けたエステティシャンが多くいるエステサロンももちろん存在します。
効果を実感するまでの施術回数
脱毛効果を実感するまでの施術回数も、医療脱毛とエステ脱毛で異なります。
医療脱毛は高出力のレーザーを使用するため、通常は5〜8回の施術で効果を実感できるといわれています。
一方、エステ脱毛は比較的出力が低いため、12〜18回程度の施術が必要になることが多いです。
医療脱毛は短期間で効果が現れやすいため、忙しい方や早く脱毛を終えたい方に向いています。
まとめ
医療脱毛は、医療機関で行う高出力レーザーを使った永久脱毛です。
毛根をしっかり破壊するため少ない回数で効果が得られやすく、安全性も高いです。
しかし、痛みが感じられることがあり、高額となることがあります。
一方、エステ脱毛は、エステサロンで行う低出力の光を使った脱毛です。
痛みが少なく、費用も比較的安いですが、効果が持続しないため定期的に施術を受ける必要があります。
医療脱毛は早く永久脱毛を完了したい方に、エステ脱毛は少ない痛みで手軽に始めたい方に向いています。
自分のニーズに合わせて、より合っている方を選択しましょう。
記事監修医師プロフィール
美容皮膚科医,慶應義墊大学医学部卒
慶應義塾大学病院、大手美容皮膚科での勤務を経て2021年独立。
日本レーザー医学会正会員。
効果と安全性を最重視したレーザー治療を提供。